名称無し(鶴)

 



窓絵花文に比べるとかなり少ないが、比較的よくみられる文様。側面には点文で形成された菱形の枠内に、鶴丸と呼ばれる羽を丸く展開した鶴が描かれる。窓絵鶴文碗や福寿鶴文碗とは異なり、松竹梅等は描かれずより多くの鶴が描かれるのが特徴である。宮城(2002)では、このタイプに使用されたと思われる染付用の型紙が紹介されているが、文様自体に名称は与えられていない。一方、伊予陶磁器協同組合(1977)では、型絵染付飯碗として紹介されている。


文様・形状のバリエーション

この文様の碗には

    A. 染料の色が濃く、口縁内面の文様下部や見込み文様の周りに円が描かれず、重ね焼きの跡がないタイプ(上の画像)

    B. 染料の色が比較的薄く、口縁内面の文様下部や見込み文様の周りに一本線の円が描かれ、重ね焼きの跡があるタイプ(ない場合もある)

の2タイプがあり、製造された窯元や年代などが異なる可能性もあるが、詳細は不明である。


上記のタイプのうちBにあてはまるもの
この個体はやや小型だが、通常サイズのものもある

口縁内面と見込み文様


Aのタイプ
口縁内面は連続する三角枠と花弁のような文様
見込みは現在松竹梅のみ確認

Bのタイプ
口縁内面の文様下部や見込み文様の外側に一本線の円が描かれる
見込みは松竹梅

こちらもBのタイプだが、重ね焼き跡がない
見込みは五弁花

底および高台


Aのタイプ。高台周辺には三角形文が並ぶ

Bのタイプ
三角形文と高台の間に太い線が描かれる


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